2025/09/12 18:06

快適な釣行をサポートするフロントポーチ
一からパターンを引き直した本体部分とは対照的に、ほぼ変更が無いのがフロントポーチ部分です。
これはすでにこの形状で一つの答えが出ている為、無理に変える必要が無かったから。
前作の解説記事と重複する部分もありますが、ちょっとおさらいをしてみましょう。
よく見ると流れるように角度を変化しつつ傾斜したパネル同士が組み合わさり、充分な容量を確保しつつ、絶妙な形状にシェイプされたフロントポーチは、彫刻を削るような感覚でペーパークラフトを繰り返して導き出し作り上げました。
この形状のおかげでキャスト時に腕の動きを妨げずノンストレスに竿を振り続けられます。
また、ヘツリや高巻きの時も足元が見やすく安全に遡行できる仕様になっています。

メインの収納スペースは、ファスナー式
斜めから縦に開き中身が見やすく取り出しと収納がしやすい形状で、片手でも素早くスムースに開け閉めがしやすいです。
その為ファスナーは、止水ファスナーではなく通常のコイルファスナーに撥水処理を施したものを使用しています。
これによりスライダーの動きが軽く、竿を持った状態でも片手で操作できます。
そしてファスナーの全開時、開口部の高さも中身が飛び出しにくく、ちょうどよい広さを何度もサンプルを作り検証して導き出しました。
容量としては、おおよそ最大で22cm×12cm×6cmまでのルアーケースが収まります。
500mlのペットボトルと行動食を入れて丁度良い感じですので、片側にルアーやフライなどを入れて逆側に飲み物や食べ物を入れるのが良いかもしれませんね。

また、内側上部にはループがあり、フックストラップ(1本付属、拡張用別売りアリ)を取り付けられます。
ルアーケースにストラップを繋げておけば、手が滑ってルアーを全てロスト・・・なんてことはありません。
流れのはやい渓流では、水に落としたものは見る見る流されていきますからね。
ちなみに底面には、あえて水抜き穴は設けていませんが、もし泳ぎの多いところを攻める方は、ご自身でハトメ加工をしてください。

表面のマチ付きポケットはフラップ式、ベルクロで開け閉めをします。
小物類の収納に便利でメイン収納と同じように上部にループがありますので、フックストラップやピンオンリールなどを付けましょう。
表側には、色々引っ掛けられるパラシュートコードのループが3連で付いています。
この辺りの仕様も使いやすくて気に入っているので、あえて変えなくてもいいなと思いました。

身体に接触する内面は、ダブルラッセル生地を使用した内ポケット仕様になっています。
前作と変わった点として、ココにはスマホを入れることを想定しているのですが、近年のスマホの巨大化に合わせて前作より数センチ深くしました。
そして、ここにもフックストラップ用にループが付いていますので、スマホと繋げて紛失を防止してください。
山でスマホをロストするとほんとパニクりますし、悲惨ですからね。。。

フロントポーチサイドには、ルアーロッドを挿すためのロッドホルダーが左右に設けられています。
足元が不安定な渓流では、ルアーチェンジの際などにロッドを安定して保持できるのは、かなりのアドバンテージ。
挿す際も入れやすいように上部が斜めになっていますので、ロッドのグリップエンドを前側に当てるようにして挿せばノールックでもスムースに出し入れが行えます。

フロントポーチの本体への取り付けは、バックル式
ショルダーストラップ側のバックルの高さを調整してフロントポーチの高さをご自身の体型に合わせて調整してください。
ここも前作から改良されており、高さ調整をしたのちにズレてこないようにベルクロで固定する方式になっています。
フロントポーチの位置がどのくらいの高さが良いのかは、人によって違うかもしれませんが、目安としてしゃがんだ時にフロントポーチが腿にあたって動きを妨げるのはNG。
骨盤に合わせてウエストベルトの高さが決まれば、下部のクリップパーツの高さに合わせてフロントポーチの高さも大体決まるので、それを目安にするのも良いかもしれませんね。
この部分は、調整範囲が広いのでご自身に一番ピッタリくる位置を模索してみてください。

また、前編でもちょっと触れたようにこのフロントポーチは、ショルダーストラップから外して本体の表側に取り付けることもできます。
その際は、本体上部ポケットの下に隠れているバックルにフロントポーチのバックルを接続
そして、フロントポーチ下部のクリップは、ギアループに固定してください。
こうすることで自転車アクセスの際やシビアな高巻きの時に懐が空くので便利です。
登山道の歩きでも本体にフロントポーチを付けた方が、風の通りが良く快適だと思いますよ。
快適性を増したショルダーハーネス
バックパックを背負うのに重要なショルダーハーネス部分も改良が施されています。
前作同様に一番負荷のかかる肩にあたる部分は幅広に設定しつつ、シェイプは新しくパターンを引き直しました。
これによりベストのようなフィット感があり、広い面で重さを分散するので負担を軽減し登攀やキャストの際も腕の動きを妨げません。
左右が背中部分でつながったラウンド形状とパッドが薄く設定されているのも、この為です。
また前作では、熱が籠りがちだった首の後ろ左右のショルダーハーネスのつながり部分は強度のあるメッシュ素材を使用し、通気性を確保しました。

またこのメッシュ素材は丈夫な反面、上下左右方向には全く伸びないので裁断時に斜め45°(バイアス)にパーツ取りすることで上下左右方向に少しだけ伸びをもたせてフィット感や動きやすさをプラスしました。

好評だった標準装備のホイッスルも、もちろん今回も付けました。
これは水場での使用に適したDURAFLEX社製のダイビングホイッスルです。
最初は右肩に付いていますが、左肩に付ける事も可能ですので、好みで付け替えてください。
ホイッスルと聞くとケガをしたりして遭難した時に使うのかな?と思われるかもしれません。
もちろんエマージェンシーの時も使えますが、沢ではもっと頻繁に使って頂けるアイテムです。
例えば複数人で釣りあがっている際に、少し距離ができる時ってありますよね?
その距離が20mほどでも滝や落ち込み、流れの早い場所では沢の音で声が届きにくい・・・
そんな時に仲間に振り向いてほしい時は、ホイッスルを吹くと気が付いてもらえます。
あとは登山道が並行しているような沢で、こちらに気が付かず他の釣り人が登山道を上流に向かっている時には、ホイッスルを吹いてこちらの位置を知らせて、頭ハネをされないようにコミュニケーションを取るのにも使えます。
また、野生動物とのトラブル回避のためにこちらの位置を知らせたりと、とにかく一つあると便利なのがホイッスルなのです。
肩甲骨付近のループは、ホイッスルを挿しておく他、無線機やオプション類を取り付けるのにとても便利です。

特に無線機は複数人での釣行時に便利で、私たち仲間内ではデジタル簡易無線を導入しています。
デジタル簡易無線は5Wまでの出力で運用できる無線機で、ライセンスが要らず登録だけすれば使用できるトランシーバーです。
価格的にも導入しやすく、特定小電力トランシーバーとは比べ物にならないほど飛びますので冬のバックカントリーでもマストアイテム。
渓流でも、リードで登るような高巻きの場面でクライマーとビレイヤーのコミュニケーションが取れ状況を知らせるのにとても便利。
懸垂で長い距離を順番に降りる時も安全圏まで下りたことを知らせるのに使えます。
複雑な地形やノールして先が見えない場所、木々の生い茂る夏などは、相手が目視できなくなりますし、沢の音で声が届かないことが多いですからね・・・
デジタル簡易無線を導入する前は、ホイッスルで合図を決めて行っていましたが、伝えられる情報量に限界がある。
その点、会話ができる無線機なら詳細なコミュニケーションが取れるわけです。
また、複数人で釣りあがり途中の支流や二股で別れて釣りあがる時も、無線機があれば再び落ち合うのも何かトラブルの時も安心。
もしくは「いいの釣れたよ~」なんて報告もできて楽しいですね。
もちろん、谷の中は電波の届きにくい地形でもありますので過信は禁物です。
こんな感じに運用できるデジタル簡易無線は、今では必需品と言えるぐらいマストなアイテムとなっています。
この便利な無線機を取り付ける為のループは、前作は25mm幅の物が1本だったのですが25mm幅を2本へ変更。
これにより無線機の背面クリップを取り付けやすいようにしました。
また高さと角度を調整し、沢の雑音の中でも聞き取りやすいように耳の近くへ来るように配置。
角度もアンテナが身体に当たらないように少しだけ外向きにしてあります。
そして、近年事故の多い野生動物とのトラブル時に最後の砦となる、熊撃退スプレーを携行するBEAR SPRAY HOLSTERを取り付けることもできます。
その他、工夫次第で色々取り付けられますのでカスタマイズしてみてください。
以上、新しくなったSTREAM CHASER BACKPACKに関して、解説させていただきましたがいかがでしたでしょうか?
日本の渓流、特に源流域での使用に適した機能性が詰め込まれているので、逆に言うと上流域や中流域でも快適に使えます。
今回、解説させていただいた内容をわかりやすく動画にもしましたので、合わせてご覧いただければ嬉しいです。
今後、さらに快適で安全な釣行をサポートするオプション類も新商品を企画中!
現在発売中のオプション類に関しても近日こちらのコーナーで解説させていただこうと思います。
皆さんの楽しい時間をサポートする最高の相棒『STREAM CHASER BACKPACK』で、余韻に浸れる素敵な趣味の時間をお過ごしください♪
