2026/05/03 19:51
前回からの続き・・・
【世界最高の熊撃退スプレー用ホルスターを作る】
熊撃退スプレーがマストな時代に向けて専用ホルスターを作ろう!と思い立った時、まずどんな物が良いかなと実際に熊撃退スプレーを使っている人達の話を聞くことにしました。
するとなんと熊に遭ってスプレーを構えたという話よりも、誤射して大変な目にあったという話が圧倒的に多かったのです。
これは何かの拍子にトリガーを保護しているセイフティーが外れてしまい、気が付かずに誤ってトリガーに触れて誤射という流れ。
カプサイシンなど強い刺激のある成分を噴射する為、粘膜にかかると大変です。
車内で誤射してしまうとしばらく臭いも取れないなど悲惨・・・
こんな話を踏まえつつ、フィールドでの使用を考慮し専用ホルスターを作るなら、下記の条件を満たすものにする必要がありました。
・様々なサイズのスプレーに対応している
・登攀、藪漕ぎなど激しい動きでもセイフティーが誤って外れたりしない
・片手で素早くスプレーを抜ける
・渓流での使用を踏まえて、水捌けが良い構造
・MOLLEシステムに対応している他、ベルトなどへも装着可能な汎用性
・左、右利き用をそれぞれラインナップする
・熊鈴を取り付けられる
以上7つのポイントを満たしつつAfterglowらしいアイテムになるようモノつくりがはじまりました。
【様々なサイズのスプレーに対応している】
手のひらサイズの小型スプレーはそもそも性能が不十分と考え、現在市販されているヒグマまで対応しているタイプのスプレーを前提にサイズを出していきました。
色々なスプレーの寸法を調べ、主なサイズの3種類は現物を用意

長さや太さに差がある為、フレキシブな構造にする方が良いなと思った時に浮かんだのが、インスタネットを入れる為に作ったFAST DRAW HOLSTER for INSTA-NETです。
両サイドがバンジーコードで締め付け具合を調整する独自構造は、ネットの種類を選ばず抜き差しもしやすいので釣り人達から大変ご好評頂いているアイテム。

このシステムを継承し、長さや太さの違うスプレー缶に対応するため、本体は巻き付け式としバンジーコードと調整式ストラップでスプレーの長さにかかわらずしっかりと保持できるように設計しました。
【激しい動きでもセイフティーが誤って外れない】
とにかく誤射を起こさない為、この部分は最も重要視したところです。
トリガーとセイフティークリップを覆う形のストラップがしっかりと保持。

例えば藪の中を掛け分けて進む時ってつるやら枝やら笹やらがトリガー付近にぶつかって、いつしかセイフティークリップが外れていて、トリガーに触ってしまって誤射・・・大体このパターンが多い。
これに崖や滝を登るなどの動きが合わさる渓流釣りでは、特にしっかりとしたトリガーガードが必要でした。
そして色々なサイズのスプレーでもトリガーに確実にフィットするよう、バンジーコードとバックルにより長さ調整することでベストな位置に調整できるようにしてあります。
【片手で素早くスプレーを抜ける】
安全確実にスプレーを持ち歩けても、いざ!という時に素早くスプレーを抜けないのであれば意味がありません。
しかも、竿を持っていたり斜面で何かにつかまっていたり、もしくは片手をすでに負傷しているかもしれませんから全ての動作を片手で完結できることが重要です。
この条件を満たしつつセイフティークリップとトリガーをしっかりとガードするけど抜く時は素早く開放される構造にする為、リリースにはトリガー側の側面に配したバックルでのリリース方式を採用しました。

蛍光オレンジのパラシュートコードを引っ張ることでバックルが外れ、同時にバンジーコードのテンションでトリガーとは反対方向へトリガーガードが引っ張られて完全開放。
さらにバンジーコードが緩むことでスプレー本体を締め付けていたテンションも抜けるのでホルスターからスムースにスプレーが抜けるのです。
また装着時にバックルの位置が外側にならないのも、転倒時などにバックルの開放や破損が起きないように考慮した結果です。
【渓流での使用を踏まえて、水捌けが良い構造】
アウトドアで使う物ですし雨や入水時のことを考えると排水性も大切。
バンジーコードを使った巻き付け式にしたことで結果的に排水性が良い構造となりました。

特に腰のベルトに取り付ける際は、ポーチが水に浸かることもあると思いますが気にすることなくつかって頂けます。
【MOLLEシステムに対応している他、ベルトなどへも装着可能な汎用性】
このホルスターは、汎用性を持たせつつSTREAM CHASER BACKPACKのウエストベルトにしっかりと装着することを前提に作ったため、背面の取り付け部分はMOLLE対応にしました。
この「しっかりと装着」という部分が重要で、実際にスプレーを抜く際に決められた場所に決められた角度にあるからこそ、ノールックでリリースしてスプレーを構えることができる。
また、リリースの為のパラシュートコードを引っ張る際にもしっかりと固定されていることで力が逃げずに確実にリリースすることができます。

そして、MOLLEのプラットフォーム以外にも25mm~70mm幅ぐらいまでのベルトに通すこともできます。
また付属のスリッククリップを併用することでSTREAM CHASER BACKPACKやTOMANO、OKINOなどのショルダーハーネスへ取り付けることもでき、他社のバックパックなどにも工夫次第で取り付けできる場合もあります。
【左、右利き用をそれぞれラインナップする】
左手利きの人と右手利きの人の比率は、ざっくりで1:9ぐらいらしいです。
構造的に左右それぞれを作る必要があったので両方作った訳ですが、利き手に合わせるだけでなくスプレーを二本持ち歩く場合は左右両側に装備する事も可能です。

北海道や東北などで熊リスクの高い地域へ行く場合はプライマリーとセカンダリー的に2本持って行くと安心ですね。
【熊鈴を取り付けられる】
熊撃退スプレーがあれば安全というわけではありません。
あくまで出逢ってしまった際の対処の1選択肢
前編でも綴ったように、そもそも遭遇しないことが大切です。
熊鈴に関しては諸説ありますが、音を出してこちらの存在を知らせるという機能は間違いなくあります。
その音を聞いて動物たちがどう行動するかは、個体差や場面により違うでしょう。
ただ、この「こちらの存在を知らせる機能」としてホルスターには熊鈴をぶら下げるフックを付けました。
選択肢は多い方が良いですからね。

ちなみにこの熊鈴用のフックはワイヤーゲート式ですので、リングなどが付いた鈴をパチンとワンタッチで取り付けたり、音を出したくないシチュエーションでは片手で簡単に鈴を外すこともできます。
また、鈴自体が宙に浮いた状態と言いますか、ポーチや身体に接したりしない位置に来るようにしてありますので音が良く鳴り響きやすいです。
【たぶんここまで作り込まれた熊撃退スプレー用ホルスターは他に無い】
「自分が使うならこんなのが欲しい」と書き出した条件を満たした設計でサンプルをいくつも作りテスト
お恥ずかしながら実際に熊にも出くわしてスプレーを抜くこともありました・・・反省
そんなテストの繰り返しの中で気に入らない点は修正を繰り返しブラッシュアップ
そして完成した熊撃退スプレー用ホルスターは、安全にスプレーを携行出来て行動中はぶらぶら邪魔になったりもせず、素早く抜いて構えられるまさにホルスターと呼ぶに相応しいモノに仕上がりました。

もちろんスプレーもこのホルスターも買って終わりではなく、正しく装備し何度も抜き差しを練習して目をつぶっていてもスプレーを抜いて構えられるぐらい扱いを身につけておく必要があります。
人と動物との不幸なトラブルを少しでも減らせるように、このホルスターを活用して頂けたら作り手冥利に尽きます。
山を愛する皆さんと山の住人たちの日常が平和でありますように
おわり
※熊撃退スプレーやナイフは釣りや山歩きなど「正当な理由」なく携帯したり車に積んでおく行為はやめましょう。
