2025/10/02 00:10
群馬県利根郡みなかみ町と新潟の湯沢町の県境にある谷川岳
Afterglowクルーの活動の中心地でもあるこの山は、トマの耳(標高1963m)とオキの耳(標高1977m)二つのピークを持つ双耳峰。
日本百名山の一つで首都圏から近いということもあり、一年を通して多くの登山者で賑わう人気の山です。
下から自力で登るのも良いですが、隣接する谷川岳ヨッホ(冬季は Mt.T by星野リゾート)のロープウェイを使うと標高差約600mを約15分。
一気に標高1319mまでアクセスが可能な為、登山であれば体力やレベルに合わせて楽しめますし、スキーやスノーボードを楽しむ方は、ロープウェイとリフトを使うと一気に滑りごたえのある長い距離の滑走が可能。

また、ロープウェイとリフトを使って天神尾根まで上がり、そこから尾根を歩いて西黒沢へ滑り込む無数のドロップポイントを目指したり、ピークまで上がってマチガ沢、さらに足をのばして芝倉沢など良い斜面が沢山あるバックカントリーのメッカとしても人気です。
※谷川岳のバックカントリーエリアは雪崩の巣です。
経験の浅い方には危険なエリアになりますので、ガイドツアーなど経験者と一緒に入り、コンディションや安全面に十二分に注意してください。
そんな谷川岳ですが、魔の山としても有名
ギネスブックにも載っていますが死者数が世界で最も多く、世界の8000メートル峰14座の死者数を合計しても、谷川岳の死者数のほうが多いとのこと・・・
2000mにも満たないこの山で多くの方が犠牲になったのは、急峻で険しい地形が多いことやロッククライミングのルートでの事故が多かったこと、中央分水嶺である立地的な要因で天候の急変が多いこと、そして首都圏からのアクセスも良く多くの方が訪れることなどがあるようです。
また、実は現在の谷川岳は元々は違う名前の山で本来の谷川岳は隣にあるピーク、利根川支流の谷川という沢の源頭、現在の俎嵓(まないたぐら)が元々の谷川岳でした。
これが明治時代に作られた地図で現在のトマの耳が谷川岳と記載されて今に至るとか・・・
何ともおかしな話ですが、双耳峰という存在感などを考えると結果オーライ!?かなとも思ったり
まあとにかく多くの人を魅了する谷川岳に、私たちAfterglowクルーも強い思い入れがあります。
そして、そんな谷川岳への思いを込めて名付けられた二つのバックパックが
『TOMANO』と『OKINO』

この2モデルの構想は、一つは30L以上の容量のバックパックが沢に泊まる溪伯釣行用や登山用としてほしかったことと、もう一つは何年も多くのご要望を頂いていたバックカントリー用のバックパックの企画を進めていたことがリンクして生まれました。
双耳峰にちなんだベースとなるデザインを共通にして、TOMANOは渓流や登山用として、OKINOは冬山でのバックカントリー用としてそれぞれ開発を進めて行きました。

【写真 /トマの耳とTOMANO】
前置きがちょっと長くなりましたが、今回ご紹介するのが、先に発売されたTOMANOになります。
名前のTOMANOは、もちろんトマの耳からのネーミング。
ちなみにオキの耳からネーミングされたOKINOは、3年の開発・テスト期間を経て2025-26ウィンターシーズンより登場となります。
これはまた改めてご紹介しましょう。

30リットルのメインコンパートメントと双耳峰を模した開閉部
メインの荷室は30リットルの容量があります。
下部に向けてほんの少しテーパーした形状は、ギアをシンプルに詰め込めますのでパッキングがしやすいです。
元々は、沢に泊まる渓流釣りでの使用を目的に作りましたので、軽量コンパクトなテントやシュラフなどを収納できる最小限の大きさで作ってあります。
UL系ギアで揃えている方ならテント泊を前提とした登山にももちろん使えます。
また日帰りの登山や山小屋泊を前提にした登山にもちょうどいい大きさとも言えますね。

寒い時期や泊りで荷物が多い時は、COL POUCH LARGEが増槽ポーチとしてバックパック上部に取り付け可能です。
このCOL POUCH LARGEは、容量もそこそこあってとても便利
取り外し式のショルダーストラップが付属していますので単体でも斜め掛けで使用できます。
その他COL POUCHシリーズには、SサイズとMサイズがありギアの収納にオススメです。
※SとMは斜め掛けできません。

そしてメインコンパートメントの入り口、上部開閉部はYKKアクアガード(止水ファスナー)を使用しているのですが、ちょっと変わったデザインになっています。
これはファスナーが縦方向に開くように配されていて、さらにループ状になっているので開口部がまーるく広く開く仕様。
なぜこのようなデザインにしたかというと、このファスナーを閉めて三角になる両端についているバックルを留めると・・・
そう!谷川岳の双耳峰のようになるわけです!
これがやりたかっただけでこのデザインにしました(笑)

まあ結果としてこの部分にCOL POUCH LARGEやジャケット類、ロープなどを挟んで固定できるので実用性も良い感じです。
ちなみにバックパックの中身が少ない時は、頂上同士を留めるのではなく、ショルダーハーネスの付け根にあるもう一つのバックルに表面側の頂上のバックルを留めるとコンパクトになりますので、容量に合わせて使い分けてください。
メインコンパートメント内部には、貴重品を仕舞うポケット付きでキーフックも付いています。
山でクルマのカギを無くすと悲惨ですからね・・・

頻繁に使うものを入れておくのに便利な表面のメッシュポケット
表面にはストレッチ性のあるメッシュポケットがありますので、行動食や頻繁に使うものを入れたり、歩いていて暑くなり脱いだウインドシェルなどを詰め込むのに便利です。
ポケットの擦れやすい下部は、本体と同じ生地を使用し底には水抜き用のアイレットを付けてあります。
このポケットも三角形で山のよう?!山頂への途中にある小ピークといったところでしょうか。

飲み物やトレッキングポールなどを仕舞うための両サイドの大型ポケット
サイドポケットは500mlのペットボトルが2本入る大きさ。
ボトル以外にもトレッキングポールやロッドケースなどを仕舞えます。
長物を入れる時は、バンジーコードで固定すると良いでしょう。
こちらのポケットもそこに水抜きのアイレットが付いていますので、雨や落水時に排水してくれます。

表面のバンジーコードと両サイドのループ
表面には、リフレクターのバンジーコードが行ったり来たりしながら配されています。
このコードの役目はサイドポケットの項目でも出てきましたが長物を入れた時の固定が一つ
そしてバックパックの中身が少ない時は、中身が暴れないようにコンプレッションするのにも役立ちます。
またデイジーチェーンのように縫付けられたループと合わせて使用することで、いろいろ工夫することができるでしょう。
この辺りは、使いながらご自身で工夫して頂ければと思います。

使用例としてはこんな感じ
クローズドセルのスリーピングマットを挟んだりループにぶら下げたサンダルやランタンが歩いている時にぶらぶらしないようにバンジーコードを掛けています。
ガチャ類もループにぶら下げて同じようにバンジーコードで押さえていますね。

背面パネルと可動式のPivotシステムウエストベルト
TOMANOの特徴的な点として特記すべきはウエストベルトでしょう。
STREAM CHASER BACKPACKやOKINOにも搭載されているPivotシステムのウエストベルトは、高く足を上げるようなシチュエーションで骨盤を傾けたい時もウエストベルトが腰の中央を軸に回転するので、動きを妨げずスムースなムーブが可能。
それでいてバックパックの荷重は常にウエストベルトの中央に乗っかるという独自の機構になっています。
元々はバックカントリーで滑走時にバックパックからの干渉を避け、制限されない自由な身体の動きで滑る為に開発したシステム。
でも、道なき道を釣り歩き、時に岩や数十メートルの滝や崖を昇り降りする渓流釣りにも優位だということでSTREAM CHASER BACKPACKやTOMANOにも搭載することとなりました。

さらにウエスtベルトには、カラビナなどガチャを引っ掛けるギアループも付いています。
ハーネスのギアループとウエストベルトが干渉しますから、ガチャはこのループにぶら下げた方が良いかもしれませんね。
ちなみにこのウエストベルトは取り外し式
普段使いなどでしっかりとしたウエストベルトは大げさだな~という時や、自転車で使用する方は外しても良いと思います。
また付属の簡易ストラップをショルダーストラップの下部付近に配した角カンに通して使うこともできますので、ご自身の使用目的でカスタマイズして頂くのが良いと思います。

もっと言うとこのPivotシステムのウエストベルトは規格が共通ですので、STREAM CHASER BACKPACKのウエストベルトをTOMANOに取り付けたりもできちゃいます。
渓流釣りでTOMANOを使う時は、ウエストベルトにインスタネットホルスターや熊撃退スプレーのホルスターを取り付けたりできますので腰につけたい方には良いかもしれませんね。
そして、バックパック本体の背面には心材と背中に沿ったアルミバーが内蔵されています。
購入した際は先ず、このアルミバーをご自身の背骨のカーブに合わせて曲げてから使用して頂くとフィット感が出ますので、必ず行ってほしいセッティングです。

なぜ中央に一本のフレームなのか?
それは、荷物を背負って歩くだけならもっとがっちりとしたフレームが良いと思うのですが、複雑な姿勢での遡行や精度の高いキャスティングを繰り返す渓流では、ある程度自由度も欲しかったからです。
これはOKINOにおいても同じ考え
バックカントリーでの滑走では、肩や上半身のひねりが重要ですからね。
この辺りは、またOKINOの回で詳しく書きたいと思います。
ちなみにアルミバーも心材も取り外し可能ですから、軽量化などで外したい方は取っていただいて使用するのも良いと思います。
ただ、軽いのと疲れにくいのは別の話なので結果的にアルミバーを入れているほうが疲れないということもあると思いますが。

フィット感のあるショルダーハーネス
ショルダーハーネスはパッドは薄めで幅を持たせてあります。
幅があった方が荷重を分散できるので良いですし、釣りのシーンではパッドが薄いほうが邪魔にならない。
さらに上でU字につながっているのでベストのようなフィット感が得られます。
このU字部分は丈夫なメッシュ素材を使用していますので通気性も確保されています。
チェストストラップは片手で操作可能なバックルを使用しているのですが、これが意外と重要で竿を持っている時など片手がふさがっていても操作可能なのはとても便利です。
以上、TOMANOの仕様に関して綴ってみましたがいかがでしたでしょうか?
登山や渓流釣りなど山で遊ぶのにピッタリなバックパックなのが、お分かりいただけたかと思います。
そして、もしTOMANOをご購入いただいた際は、是非!谷川岳へ登ってトマの耳へTOMANOを連れて行ってあげてくださいね!