2023/09/06 11:06



先日発売を開始したFIRST AID POUCH ですが、予想を大きく上回り、大変ご好評頂いております。
趣味の時間を安全に楽しんで頂きたいという思いを込めたアイテムですので、皆さんに携帯して頂けると嬉しいです。

さて、お客様から多くご質問頂いている『FIRST AID POUCH の中身は何を入れるか?』に関して綴ってみたいと思います。

これはおそらく大体の目安はあっても、100%明確な答えは無いのかなと思います。
なぜなら、行く場所や目的、季節などでも中身が変わってくると思いますし、何でもかんでも持っていくと嵩張り重量も増します。
ですので、ご自身の想定で入れる物を吟味し、組み立てていくのが良いと思います。
その過程で、色々調べたり新しい学びや発見もあるかもしれません。
それも含めて楽しめば、趣味の時間をより濃厚に楽しむことにもつながるかと思います。
そして、ファーストエイドキットは、買い揃えて終わりでは、ありませんので、その使い方を含め臨機応変に対処できるように備えておきたいですね!

それでは、使用例です。
今回は、渓流釣りで持って行っている中身をご紹介してみようと思います。
何を入れようか悩んでいる方のご参考になれば嬉しいです。



先ずこのFIRST AID POUCHは、商品説明にもありますように36インチのSAMスプリントを基軸にしたサイズに設計してあります。
ですので、もちろんSAMスプリントを入れています。
SAMスプリントは、軍をはじめレスキューの現場でも使われている万能な添え木です。
詳しい詳細や使用方法は本家のページをご覧いただくとして


電波の届かない山中で足首を酷くひねってしまったり、転んで手を付いた際に腕や手首、指などを骨折してしまったりなど・・・
下山するには、支障が出るケガをしてしまった際、患部を固定することができれば、自力での移動が可能になったり、負傷者を運ぶ際も、患部の悪化を軽減させたりできます。
沢には、木の枝が無数に落ちているので、これを添木として利用する方法もありますが、快適とは程遠いですし、処置に時間が掛かります。
SAMスプリントなら、患部に合わせてフレキシブに変形させて固定できますし、効率が良いというわけです。


そして仕切り部分にあるゴムバンドには包帯×2本、三角巾、メディカルシザー、ガムテープを巻いたBICライターを固定しています。

SAMスプリントは、優れた添木ですが、固定する為に包帯や三角巾、テープ類の併用が必要となります。
仕切りのゴムバンドはこの辺りを整理して固定できるので、使う際に取り出しやすい仕様になっています。
もしも斜面などで応急処置をする際に、コロコロと包帯などが転がってしまいロストしてしまったら・・・さらに悲惨ですからね。

メディカルシザーは、肌を切らずに服を切ったりできる応急処置専用のハサミです。
足首の負傷時には、患部に負担を掛けずに靴紐の切断にも使えますね。
その他にも、タオルや手拭いを割く様に切って包帯代わりにする際や色々使えるので持っておきたいアイテムです。

ダクトテープ(布のガムテープ)を巻いたライターは、沢屋さんにはお馴染みの装備で、ダクトテープは応急処置に使ったり、破れてしまった雨具やタープ、テントの簡易補修、また、焚き火の際の着火剤にも使えて便利です。
ライターに巻く事で場所も取らずに使いやすくなります。
ちなみにライターのほうは、BICライターが山ではベストとされています。
理由は、品質が安定して高い事や、ガスにイソブタンを使っている為、低温にも強く、着火方式がフリント式なので標高に影響されにくく、安定した着火が行える点です。(カチカチやる圧電着火は2000m2500mくらいから点火できなくなる)
そしてBICライターは、本体が真っ直ぐなのでダクトテープが巻きやすい点が気に入って使っています。

しかし、そんな優れたBICライターにも短所があり、フリント式の着火装置は、濡れてしまうと乾くまで使い物にならなくなるという点です。
ですので、渓流釣りの時は、ファーストエイドポーチにはバックアップとしてBICライターを、釣行中リーダーの末端を焼いたりとメインで使う物には、圧電着火方式のカチカチするライターを使用しています。
渓流釣りは、ほぼ2000m以下で行いますし圧電着火方式のライターは、誤って沢に落として濡れてしまっても、着火部に強く息を吹きかけるとすぐに復活します。


容量のあるメッシュポケットには、エマージェンシーシートや細引き、小型ヘッデン、蛍光色のテープ、シグナルミラーといったサバイバルグッズを入れています。

エマージェンシーシートは、雨や風を通さず身体の熱を反射し体温の低下を防いでくれます。
細引き(アクセサリーコード)は工夫次第で色々と使えるマストアイテム。
小型のヘッデンは、バックアップとして入れていますので、とにかく小さくて軽いBLACKDIAMONDのFLAREを使っています。
蛍光色のテープは目印に使ったりを想定して、森の中で一番目立つ蛍光ピンクをチョイスしています。
シグナルミラーは、日光を反射させることでとても遠くまで光の合図を送れる、昔からあるサバイバルグッズで、軍のサバイバルキットなどにも入っています。
真ん中の穴みたいな部分がミソで、その部分を覗きながら操作することで反射光がどこへ飛んでいるかわかります。
太陽が出てないと使えないという弱点はありますが、シグナルを送る以外にも、例えば顔を怪我した際の患部の確認にも使えますし、スマホの自撮りモードと組み合わせれば、後頭部のケガの確認もできます。

ちなみにナイフやメインのヘッデン、ホイッスルなどは、渓流釣りだと常に携帯しますので、バックパックのポケットなど、ファーストエイドポーチ以外の場所に仕舞っています。


そして同じくメッシュポケット内にはジップロックに入った応急処置系アイテムとして、ティッシュ、ニトリルグローブ、テーピングテープ、痛み止め、マダニリムーバー、滅菌パッド(ガーゼ)、綿棒、絆創膏、サニコット消毒綿などを入れています。
中でも薮を進む事もあるのでマダニリムーバーは持っていると安心です。
サニコット消毒綿は、コットンシートに消毒液が染み込ませてある個包装された商品。
傷を負ってしまった場合、傷口は消毒液を使わず(消毒液が傷を治す細胞を阻害するため)、水で綺麗に洗い流すのが、今のスタンダードな処置となっていますが、フィールドでは洗い流す水を充分に携帯しているとも限りません。
沢沿いであれば、浄水器を常備していますので、浄水器を通した水で洗う事もできますが、水を確保できない状況で泥まみれの割れた岩でザックリいってしまったなんて時は綿棒やサニコット消毒綿を使って傷口を綺麗にできます。
また、傷口に触るような治療の際に、指先や手の殺菌にも使えますね。
嵩張らず保存性も良いので選択肢の一つとして入れています。
この他にも、傷パワーパッドや防水タイプのドレッシング材、ステロイド系の軟膏なども入れておくと良いと思います。

以上、渓流釣りで使っているFIRST AID POUCHの中身をご紹介させていただきました。
冬のバックカントリーの時は、渓流とは中身が変わってくる部分もありますし、今回ご紹介した中身もこれが正解というわけではなく、必要に合わせてアップデートしていくことが、備えになると思います。
また、ファーストエイドキットは、万が一の装備であり、万が一を起こさないことが一番重要です。

常に心掛けているマイルール
・70%以上の力を必要とする箇所は、実力に見合っていないので進まない、行かない。
・危険箇所は、100回トライして100回安全に通過できないのであれば装備や実力が伴っていない。それでも行くのはギャンブルになってしまう。(いつかやらかす)
・行程と時間を定期的に確認し、余裕を持った行動を心掛ける。
などなど

装備の充実も大切ですが、安全で無理のない行動を心掛けて、趣味の時間を思いっきり楽しんでいきたいですね!