2023/03/23 01:36

安全に釣りを楽しんで頂くための物つくり

渓流釣り、特に源流部を釣りあがる際によく登場する残置されたトラロープ。

入退溪点や高巻き、トラバースなどでよく目にしますが・・・

誰がいつ設置したのかわからない残置ロープは、そもそも強度的にも、また紫外線や雨などによる経年劣化で、いつ切れるかもわからない信用してはいけない物の一つ。


もちろん補助的に使うことはあっても、両手で持ったり、全体重をかけるようなことは避けたいものです。

電波の届かない山中での遡行で重要なことは、十分な安全マージンを確保すること。

毎年ニュースになるもの、ならないものを含め、残念ながら渓流釣りでの事故が起こってしまっています。

STREAM CHASER BACKPACKをデザインする上では、少しでも安全な釣行を楽しんでいただけるように、そして渓流釣りでの悲しい事故が一件でも減るようにと、安全面に配慮した機能を搭載しています。


先ずは、ロープの話

STREAM CHASER BACKPACKの表面に、デザイン的にも存在感のある斜めに配された止水ファスナー。

これは、主にロープを入れるためのポケットとなっています。

クライミングのように墜落前提ではない沢登りや渓流釣りでは、補助ロープと呼ばれる8mmほどの太さのロープが多く使われていると思います。

長さは20mや30mで、撥水加工がされたものが使いやすく一般的でしょう。

STREAM CHASER BACKPACKのロープポケットには、8mm×20 mのロープがジャストフィット、8mm×30 m も詰め込めるサイズに作ってあります。

また、このポケットのマチは、バックパックの内部に向かって膨らむように作ってあります。

これによりロープを詰め込んでもバックパックの厚みが増すことがなく、Dリングに付けたランディングネットが遠くなることもありません。



仕舞うのも出すのもスムースに行える工夫

ポケットにロープを仕舞う時は、先ずロープのセンター部を持ち、その部分からポケットにジグザグに詰め込んでいきます。

あえて束ねたりしないのがポイントです。

そして末端まで来たら、二本の末端をポケット上部にあるループに通して、ファスナーを閉めれば準備完了。

実際の釣行時、最も多くロープを出すタイミングは、懸垂下降やゴボウで崖や急勾配を降りる時だと思います。

ちょっとでも不安を感じる場面では、積極的にロープを出していきましょう。

安全マージンを取るという意味もありますが、日頃からロープの扱いに慣れておくという意味合いもあります。


支点にロープを掛ける

使い方としては、先ずバックパックを下ろし、ロープポケットのファスナーを開けたら、末端を通しておいたループからロープを抜きます。

仕舞う際にループに末端を通しておいたのは、ロープを掛ける際に素早く末端を見つけられるようにする為です。

続いて、支点にロープを掛けて、両末端をすっぽ抜け防止のために結びます。

支点にする木や木の根、岩やハーケンなどは、十分な強度があるものにします。

また必要に応じてバックアップも取りましょう。


末端同士を結んだら引っ張り、ポケットからロープをスルスルと出していくと、最終的にロープのセンターが支点に来ますので、すぐに下降を行えます。

必要に応じて下降器を使ったり補助ロープとして安全に降りて行きます。


下降が終了したら結び目をほどき、ロープを引き抜いて回収し、最初と同じようにロープセンターからポケットへ詰め込んで、遡行を続けてください。

実際に使用していただくと、とてもスムーズにロープを出し入れできることが、お分かりいただけると思います。

また、このポケットはロープ以外にもレインジャケットなどの収納にも使えます。

ポケット下部には、水抜きがありますので濡れたロープやレインジャケットを入れても、ポケット内部の水滴を排水してくれます。

冒頭にも書きましたが、安全で楽しい釣行の為に、残置ロープを頼らず、自前のロープを携帯することをお勧めいたします。

また、ロープや登攀具の使用は、使い方を間違えると重大な事故につながります。

必ずクライミングジムなどの講習会で、しっかりと学習してから行うようにしましょう。


ギアループとホイッスル

本体の両サイド下部には、カラビナ・スリング・ビレイデバイス・8カンなどをぶら下げるのにベストな位置に ギアループが設けてあります。

山岳部の奥深くへ行く際には、登攀具を携帯する機会もありますよね。

特にスリングは、120cmの長さを常に23本ぶら下げておくと色々と便利なアイテムです。

また、フロントポーチの説明でも書きましたが、フロントポーチをバックパックの表面に取り付ける際は、ポーチサイドのクリップを、このギアループに接続することで、安定させることができます。


そして、ショルダーストラップにも安全面を考慮し、エマージェンシーホイッスルを標準装備しました。

エマージェンシーといっても、本当に非常時のみに使うのではなく、意外と普段も使えるのがホイッスル

例えば複数人で入渓して、ちょっと同行者と距離が離れただけで、沢の音で声が届かないという経験が誰しもあると思います。

こんな時に相手を呼ぶのにもホイッスルは便利。

あと一番出番の多いのは、なんと言っても野生動物へ自分の存在をアピールする時

熊鈴と併用して安全な山歩きに役立つ道具です。

ちなみにこのホイッスルは、DURAFLEX社製で水場でも使えるタイプですので、濡れてもきちんと音が出せます。

デフォルトは、右肩についていますが、左肩へつけることもできますので、お好みでカスタムしてください。



以上、STREAM CHASER BACKPACKの機能性に関して説明させていただきました。

渓流釣りの実戦から生まれた無駄のないデザインと機能性は、他に類を見ない使い心地を提供してくれるでしょう。

また、このバックパックと合わせて使える色々なオプションパーツも、続々とラインナップしていきますのでお楽しみに♪

「全ては、余韻に浸れるいい時間の為に」

STREAM CHASER BACKPACKの、詳しい使い方を動画でご覧頂きたい方は、下記からどうぞ。